2014年12月14日日曜日

五藤利弘監督 短編映画「ブーケ~a bouquet~」

キネマ旬報の12月上旬号に五藤利弘監督の映画「花蓮~かれん~」が出ていた。郷里である長岡市栃尾を舞台にした青春映画連作を観て以来、この監督の作品に注目している。地元長岡を中心に熱心な五藤監督ファンの輪も広がっている。若手スターを起用してスターダムに押し上げていく名手でもあるこの監督の今後の作品は楽しみだ。石橋杏奈は「ゆめのかよいじ」に主演した。「花蓮」にW主演したきたきまゆと三浦貴大も良い。キネマ旬報は学生時代から行きつけの喫茶店に置いてあるのを読ませていただいた。懐かしい。

表題の映画「ブーケ~a bouquet~」(2014年2月公開)に主演しているのが、「花蓮~かれん~」で三浦貴大が演じたレンコン農家青年の母親役を演じた円城寺あやだ。この短編映画はセリフのやりとりが面白い。美しい映像と寡黙な登場人物の多い五藤監督作品にしては珍しいと思ったら、脚本は。この作品で富士山・河口湖映画祭でのシナリオ・コンクールでグランプリを取った西史夏氏だ。円城寺あやのセリフに迫力がある。娘役を演じた右手愛美も魅力的だ。

まるで三途の川のような不思議な湖の場面から映画は始まる。20年前の水難事故で親をなくしたヒロインと、片親の少女がお互いに壊れたかけらを持ち寄って、共に生きていこうとする姿が描かれる。この少女に円城寺あや演ずる女性を魔法使いと呼ばせているのが印象的だ。再生と希望の物語には少しの魔法が必要かも知れない。彼岸と此岸の間に存在するスペースとしての水面の使いかた、抒情的な音楽、濃厚な人の死の記憶、再生への願い。これらは五藤監督の「ゆめのかよいじ」の世界であり、「モノクロームの少女」の世界だ。コンクールグランプリの脚本を使いながら、五藤ワールドが再現されている。


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