2014年10月20日月曜日

「L.A. ストーリー」と「マイ・ブルー・ヘブン」 スティーブ・マーティンの魅力

グーグルで好きな本や映画を検索できるありがたい時代になった。それでも日本から送ってもらう雑誌を手に取ってページをめくる楽しみは捨てがたい。面白い書評とか映画評とかを見つけた時の喜びは格別だ。週刊文春のコラム「本音を申せば」の小林信彦の映画評には共感することが多い。

「ピンク・パンサー」のクルーゾー警部を演じたスティーブ・マーティンは「花嫁のパパ」、「バックマン家の人々」 など多くの作品に出ているが、この人が出演したミック・ジャクソン監督の「L.A. ストーリー 恋が降る街」(1991年)についての映画評は小林信彦以外には読んだことがない。この映画は大人の童話だ。それぞれいい感じに歳を重ねた二人のすれ違いを、不思議なハイウェイの交通信号が後押しする。人と人との関係についての比喩なのだろう。ちかちかと控えめな信号は出ている。それに気が付いて行動できるかは別の話だ。この映画の監督は1992年にケヴィン・コスナーとホィットニー・ヒューストンの「ボディガード」を撮った人でもある。ローラースケートを履いたカッコいいLA娘の役でサラ・ジェシカ・パーカーが出ている。


この演技派のコメディアン俳優の作品は日本未公開のものも多いと小林氏は指摘している。「マイ・ブルー・ヘブン」(1990年)というハーバート・ロス監督が撮った傑作が日本では紹介されていないことをずーと不思議に思っていたので納得した。この映画はスティーブ・マーティン演じるヤクザのお兄さんと 「ミクロ・キッズ」 のリック・モラニス演じるFBI捜査官の掛け合いが面白い。証人保護プログラムで別の人間として生きている主人公とその監視役の捜査官の話なのだが、二人は妙に息が合う。この二人を空港で出迎えた親族がFBI捜査官を泣き落とす場面と、二人がナイトクラブでメレンゲを踊る場面が最高だ。


リック・モラニスがいい味を出している。お堅いFBI捜査官なのだが気がつくと妻には浮気され、逃げられてしまう。仕事でスティーブ・マーティン演じるマフィアのチンピラの主人公を監視している内に、微妙に影響され、それまで仕事一筋だった堅物男がどんどん面白い男になっていく。やがて新しい恋が芽生える。音楽も素晴らしくて元気の出る映画だ。ハーバート・ロス監督は70年代に「愛と喝采の日々」、「グッバイ・ガール」 などを撮った人だ。これも懐かしい。

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