2014年10月3日金曜日

「レッズ」と「アニー・ホール」 ダイアン・キートンについて

「レッズ」は監督・脚本・主演のウォーレン・ベイティの最高傑作だ。「世界を揺るがした十日間」を書いたジャーナリストでコミュニストのジョン・リードとそのパートナーの物語である。ウォーレン・ベイティは若い頃から二枚目俳優でナタリー・ウッドと共演の「草原の輝き」にも主演した。シャーリー・マクレーンの弟でもある。この二本の映画以外にはさほど印象に残るものはない。「レッズ」がこの人をアメリカ映画を代表する俳優にしたと思う。ジョン・リードの恋人役を演じたのがダイアン・キートンだ。この人はジャック・ニコルソン演じる劇作家ユージン・オニールにも愛されるくらい魅力的なのに、いつも自分は何者かという思いを抱えている。「メンドクサイ女」なのだがそれでも愛さずにいられない。そんな微妙な役を若い日のダイアン・キートンが好演している。

ダイアン・キートンにはもう一本「アニー・ホール」という代表作がある。学生時代に見た懐かしい映画だ。1977年のこの映画のカッコよさは抜群で、白いワイシャツと男物のネクタイとベストがとても新鮮だった。ニューヨーカーなる人たちがスカッシュをする場面も初めて見た。実生活でもパートナーだったウディ・アレンとダイアン・キートンが演じる恋人たちの出会いと別れが、実生活と同時進行するようなこの映画はとてもほろ苦い。才気あふれる主人公とかわいいヒロインが出会い恋に落ちる。この神経症的な才気渙発男といつも一緒にいるのがヒロインにとってやがて辛くなる。一度別れた二人が寂しさのあまりふたたび一緒になって、キッチンでロブスターを料理しようとして大騒ぎになる場面はとても美しくて哀しい。


ダイアン・キートンはアニー・ホールで大ブレイクした後、ウディ・アレンと別れてウォーレン・ビーティと恋をした。「レッズ」の迫力は絵空ごとではないからだろう。その後も「ゴッドファーザー」でアル・パチーノの相手役として重要な役柄を演じている。年配の婦人の役をやるようになってからのダイアン・キートンしか知らない人は気の毒だ。とても魅力的な女優だった。



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