2014年10月3日金曜日

アレッサンドロ・バリコ 「海の上のピアニスト」と「絹」

VHS時代に送ってもらったままだったジュゼッペ・トルナトーレ監督の「海の上のピアニスト」(1998年)を観た。この監督の映画「鑑定士と顔のない代理人」に感動したので別の作品も観たくなったからだ。VHSの映画はモニターの配線の切り替えが億劫だったので収納箱の奥にしまってあった。この映画は音楽も映像もすばらしい。イタリア語の原題「海の上のピアニストの伝説」が米で「1900の伝説」となるのは、イタリアからの移民船で主人公が生まれたのが1900年だから。20世紀の到来と人々の自由の新天地への憧れがこの映画のテーマにもからんでいる。挿入されるピアノ曲が最高だ。とても気に入ったのでDVDを買った。

「海の上のピアニスト」の原作はイタリアのアレッサンドロ・バリコの小説である。この人の書いた「絹」は白水社ブックスに入っている。2007年に役所広司、中谷美紀など豪華な日本側わき役陣で映画化された。DVDで買ってすぐに観たが今一つだった。幕末の頃に日本を訪れる絹商人の話で、役所広司の演じる役名が大正デモクラシーの総理と同名の「原敬」でどうも気になる。時代的には長岡藩の家老河井継之助だったらもっと自然な感じになるだろう。


小説は面白い。前半は未知の国日本に憧れるイタリア男の話だ。憧れる力、実行する力についてイタリア人の情熱を感じる物語だ。後半になって実はこのストーリー全体を指揮しているのが男の奥さんであることがわかる。この本をとてつもなく強い愛の物語だと感じる人もいるだろうし、「女性の執念」は怖いと思う人もいるだろう。この奥さんはなんと男を幻想で虜にした日本からの謎の人からの手紙まで代作する。刺激的なのか? 怖ろしいのか? その両方か?


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