2014年10月5日日曜日

エリダル・リャザノフ監督 「二人の駅」

名匠リャザノフ監督の1982年の作品。話の筋はかなり凝っていて長旅の途中の鉄道駅で食事をした主人公役を演じるオレック・バシラシヴィリとウェイトレスのヒロインを演じるリュドミラ・グルチェンコの掛け合い漫才のような喧嘩の場面から映画は始まる。この会話劇の面白さは同監督の傑作「運命の皮肉」と共通している。このヒロインがとても魅力的だ。この二人が喧嘩している内に汽車は主人公をこの駅に残して出発してしまう。

主人公の旅人にはは先を急ぐ大変な事情があった。気の毒になった気の良いヒロインは一転して彼にやさしくなる。そこにニキータ・ミハルコフ演じる長距離列車の乗務員でヒロインの恋人が登場する。主人公が中央アジアからの列車が運んできたメロンのたたき売りをする場面も面白い。他の映画ではいつも堂々たる2枚目を演じるミハルコフが、バシラシヴィリの引き立て役に徹している。

前半・後半の構成で、後半の方は徹底的なメロドラマ。妻の交通事故の濡れ衣をかぶって服役することになる男は実はピアニストでとてもかっこいい奴であることがわかる。ヒロインが服役中の男に会いに行く場面も美しい。
映画の中で1969年のハリウッド映画「明日に向かって撃て」のテーマ曲だった「雨に濡れても」(バート・バカラック)が何度も使われている。ヒロインを演じたリュドミラ・グルチェンコは歌手としても人気があったそうだ。


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