2023年5月17日水曜日

三島有紀子監督 「東京組曲2020 Alone Together」

渋谷シアター・イメージフォーラムで「東京組曲2020 Alone Together」というちょっと不思議なすてきな映画を鑑賞した。週末の大都会は苦手なので平日の午前の上映。コロナ禍で生きている人々の生活を映したドキュメンタリーなのか、気鋭の俳優さんたちを起用しての新型のドラマなのか微妙に考えさせる映画だった。


三島有紀子監督の構想に沿って出演者を募集し、提出された大量の映像データの中から厳選された場面だけを編集するという手法のドキュメンタリーという解説である。この上映にはさらに仕掛けがあって、2本立ての形で同じくコロナ禍の生活と感情をテーマにした短編映画が上映されていた。主演は渋い円熟味の佐藤浩市。その短いドラマから、ドキュメンタリー映画「東京組曲2020」への流れがとても自然で、様々な出演者の場面へと続く。

三島監督はコロナ禍のある日の明け方に人が嗚咽する声が聴こえたことがきっかけで、この作品を構想したそうである。上映後に三島監督とやはりコロナ禍をテーマに作品を作られた宮崎信恵監督の対談があり、興味深い解説をお聞きした。対談後に会場の観客との質疑応答の時間となったが、誰も手を挙げる勇気がない。前から4列目に座っていたわたしに三島監督から声がかかった。「そちらの方、ちょうど目が合いましたので如何ですか?」。

「今日は友人の大高岳彦さんと奥様で俳優の洋子さんの共演された作品が上映されると聞いて観にきました。とても面白かったです。出演者の皆さんの私生活をのぞいてしまうような迫力があってドキドキしました。同時に、出演されているプロの役者さんたちが自撮りで映像を作られたとすると、演出の要素もあるだろうと思いました。たくさんの場面の中には偶然切り取られたような印象の映像もあれば、練り込まれたドラマのような印象を受けた映像もありました。バラバラの映像を1本の作品としてまとめられた監督としては、そのバランスについてどう感じていますか?」。

三島監督の回答は以下のような趣旨だった。「コロナ禍での記録としての映画を構想した段階ではできるだけそのままのドキュメンタリー素材を集めたいと考えました。プライバシーへの配慮の面からも、自然な感情を表現できるかという点からも考えた結果、プロの役者さんたちに出演を打診しました。多くの人に声をかけて50人くらいの人たちから応募がありました。その中から自分のイメージに近い映像を選び、編集する作業でした。プロの役者さんたちですから「見せる」ことは当然意識しているでしょう。そのうえで映像がわたしの意図に沿ったものかどうかを基準にしてまとめる作業でした」。

とても興味深い作品である。添付はわたしが撮影した
の舞台トークの写真。映画紹介の投稿への添付について「撮影OKです。皆さん映画の宣伝お願いします」ということでした。