2015年2月2日月曜日

五藤利弘監督 短編映画「雪の中のしろうさぎ」 2016年2月

2016年2月の富士山・河口湖映画祭でこの短編を観る機会があった。新潟県十日町市を舞台にした30分ほどの小品だ。ヒロインを演じた石橋杏奈が雪明りの道を歩く場面、道端の小さな棚にともるロウソクの灯り。終盤の雪原いっぱいに広がるロウソクの光の海が印象的だった。以前にDVDで観ているのだがスクリーンで初めて観て、あらためて映像の美しさが印象に残った。第3回沖縄国際映画祭に出品された地域発信型映画として制作されたそうがだが、ロケ地となった雪の十日町の美しさが伝わってくる。

五藤監督の「ゆめのかよいじ」 (2013年) に主演した石橋杏奈のプロモーションビデオとも言えそうだ。吉本興業の製作で、フットボールアワーの岩尾望主演のご当地紹介映画なので「ちんころ」(しんこ細工)、しんこもち、雪景色、雁木など十日町市の風物も紹介されている。世界的に有名なアーティストが地域振興のために雪深い十日町市に招かれてやってくるという設定で、裸の王様のパロディ風に話が始まる。やがて主人公の正体がばれて窮地に立たされてからの展開が面白い。

真っ白な雪の中で「しろうさぎ」は見えるだろうか? 見えない「しろうさぎ」は存在しているのか? この短編をDVDで観たのが真実かペテンかが騒がれたSTAP騒動の頃だったので共通するものを感じた。紅い目玉を入れて観る側の気を引いて、売り物にしたいと考えた時点で、真実がウソに変質することもあるかも知れない。石橋杏奈演じるヒロインへの淡い想いが、かろうじて主人公を真実の側に踏み止まらせ、小さな奇跡が起きる。誰かへの想いや、自分を信じてくれる人の気持ちに応えたいという想いがそういう境界での道標になってくれるということはありそうな気がする。

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