2014年10月5日日曜日

オレク・ヤンコフスキー、ミハイル・アグラノヴィッチ監督 「ここに来て わたしを見て」

タシケントに住んでいた頃に「目がさめたらロシア語がすらすらわかるようになってたらいいな」といつも考えていた。仕事は英語でこなしていたが、お客さんに会ったり、会議に出たりした時に自分一人だけが通訳を介する状態は楽しくない。なかなか都合良く奇跡は起きない。その内「ロシアの歌をCDで聴いて、ロシアの映画をDVDで観ていれば、いつか奇跡は起こる」と信じることにした。

ロシアの歌は好きなものを厳選して、先生とのレッスンで逐語訳を用意した。ロシア映画についてもタイプしてくれる人を探して映画のスクリプトを作った。タイピングの出来を先生がチェックしてくれた。かなり時間のかかる作業だったが、好きな歌とかメロドラマの場合には話の筋を理解したいという気持ちが強くてけっこう続いた。12本くらいの映画のスクリプトができた頃に、映画によっては英語ないし日本語の字幕がついているDVDが出回っていることに気がついた。それからはDVDショップがあると字幕付きのを探した。


この2001年の作品はたまたま見つけた。ある日「運命の皮肉」の英語字幕版を見つけた時に、そのDVDの裏側に入っていた作品だ。旧ソ連圏では今でも大晦日に鑑賞される「運命の皮肉」とペアになっていたこの映画は、やはり大晦日に起きる物語だった。とても心温まる作品だ。それからしばらくしてこの作品に主演しているオレック・ヤンコフスキーとイリーナ・クプチェンコのどちらもがとても有名な俳優であることを知った。


ヤンコフスキーは2006年のロシア版「ドクトル・ジバゴ」でも重要な敵役のコマロフスキーを魅力的に演じている。ヒロインのラーラがまだ若い頃に何故この男に魅かれ、銃撃まで試みるかを理解するうえでこれはとても重要な点だ。ロシア版「ドクトル・ジバゴ」にはハリウッド版よりも優れた点がいくつもあるが、この敵役を天下の名優に演じさせたところが物語の説得力を増した最大の理由だ。

2 件のコメント:

  1. 海外生活の言葉の訓練から映画の面白さも楽しむとは凄すぎ♪♪♪

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    1. 途上国での生活は単調になりますので、何か楽しみを見つける必要があったのだと思います。瓢箪から駒でした。

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