2014年10月3日金曜日

ジュゼッペ・トルナトーレ監督「ニュー・シネマ・パラダイス」

ジュゼッペ・トルナトーレというイタリアの監督の「ニュー・シネマ・パラダイス」(1988年)はとても好きな映画だ。映画大好きのシシリアのトト少年が都会に出て映画監督として身を立てる。故郷を離れて30年経った今でも若い日の恋を失った記憶がほろ苦い。その痛みを思い出さないように故郷を避けて暮らしてきた。その彼が親の葬式で帰郷すると、いろいろな記憶のピースがようやくかみ合うことになる。30年前に引き裂かれるように別れた恋人との故郷での再会。少年時代の映画漬けの日々の記憶との再会。ほろ苦い話だ。全編を通じて音楽と映像が美しい。

映画の前半はとても楽しい。主人公のトト少年は映画が大好きで上映館に入り浸っている。映写技師のおじさんと仲良しになるが、このおじさんには不思議な仕事がある。「ふらちな場面」をフィルムから切り取ってから上映する仕事だ。さまざまな名画のキスシーンがカットされることになる。そういうフィルムの切りくずが散乱している狭い部屋で火事が起きてしまう。目を怪我したおじさんを助けて小さな映写技師助手としてトト少年の映画修行は本格化する。


映画の後半になってすでにトトは青年になっている。多感なトト君は恋をするのだが良いお家のお嬢さんを好きになっても身分違いの壁が高い時代の話だ。ここで一計を案じたのがトトの理解者である目の見えなくなったおじさんだ。こともあろうにこの人は恋路の手伝いをするどころか、決定的な場面で二人の仲を裂いてしまうのだ。トトの才能を愛するおじさんとしてはたかだか田舎のお嬢さんとの幸せよりは、トトに都会に出て映画修行をしてほしいと願ってのことだろう。トトはその期待に見事に応えて映画監督になるのだが、はていったい彼は幸せになれたのだろうか?難しい質問だ。


1 件のコメント:

  1. 失恋があって次の出会い場ある♪♪♪沢山失恋しないとその問いに答えられない♪♪♪

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