2014年10月3日金曜日

「Tin Men」 ボルチモアが舞台のこの映画はほろ苦い

バリー・レヴィンソン監督の映画「Tin Men」の舞台になっているボルチモアは、ワシントンDCとフィラデルフィアを結ぶ鉄道の途中にある。この映画はリチャード・ドレイファスとダニー・デビートのからみがなんとも味があって面白い。映画の題名は二人が省エネ建材の金属板を売るセールスマンであることを示す。この二人のトップ・セールスマンはお互いに自慢のキャディラックがぶつかったことから犬猿の仲になる。

プライドの高い二枚目のドレイファスは口達者なデビートに復讐するために、デビートの奥さんを誘惑しようと言葉巧みに近つく。この映画が壮絶なのはデビートの妻を寝取ったドレイファスが電話をかけて相手を悔しがらせようとするところだ。ところがこの奥さんなかなか粋な女性で、色男は本気で恋に落ちてしまう。お互いに好きになってしまった頃に、彼女にすべてがばれてしまう。男女同権の今の世の中ではとんでもない映画ということになりそうだ。


ダニー・デビートはこのその後人気者になっていろいろな映画に出演するが、まだこの頃はちびでデブでハゲでユニークなキャラクターだった。とんでもなくエネルギッシュだが自己中な夫に無視される女房の役を演じる女優はどんな人だろう。実に渋くて魅力たっぷりなバーバラ・ハーシーという女優さんがこの難しい役を演じている。この女優さんは「ライト・スタッフ」でサム・シェパードの妻の役を演じ、「ハンナとその姉妹」でも三姉妹の一人を演じている魅力的な人だ。


この映画は1987年の作品だ。当時米国東部のフィラデルフィアに住んでいた。列車で3時間くらいのところにあるボルチモアには友達夫婦が住んでいたので冬休みとか春休みに行ったり来たりした。ボルチモアの美術館のマチスのコレクションは素晴らしかった。彼らと一緒に遊びにいったワシントンDCの春の桜も素晴らしかった。この二人はその後別れてしまったので、この映画はこうした思い出の写真と一緒にほろ苦く思い出す。


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